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 はじめてリポート おまけSS「はじめて***」

※このお話は後日談・バレンタイン編です。時間軸は出会って半年後くらい。
本編をご視聴後にお読み頂くとよりお楽しみ頂けます。

登場人物

冬木政人(ふゆきまさと) CV:白薔薇 麗

32歳の魔性のゲイ。おおらかでマイペースな性格。
いつも家にいるので自宅警備員の疑いがかかっているトレーダー。
拓真をじわじわ攻略中。

西園拓真(にしぞのたくま) CV:柊 唯也

21歳の大学生。物事をあまり深く考えない大雑把な性格。
冬木とは「恋人ではないけどセフレって言われるとモヤっとする…」と複雑な関係。
まだノンケのつもり。

  


なんだかよくわからないんだけど、この時期って自然と集まってくるんだよね。気づいたら家中がチョコレートだらけになってて。
こんなにたくさんどうしようかなって思ってたら拓真君が「良いこと思いついた!」ってそのチョコレートを両手一杯に抱えてキッチンに行って何か作り始めたんだよ。
拓真君、お米炊く以外のこともできたんだなーって思いながら眺めてたら「邪魔だからシャワーでも浴びてきて」って追い出されちゃって。
で、シャワー浴びてきたらチョコレートと焦げ臭さの混じった匂いが部屋中に立ちこめてて、あ〜失敗しちゃったんだなって思った。
それで、なんて声を掛けようかなって迷ってたら拓真君が恥ずかしそうにキッチンから顔を覗かせて「服着ないでソファに座って待ってて! 準備したから!」って声を掛けてきてさ。
なるほど、「オレを食べて」ってやつか! って、正直すごくワクワクしてソファで待ってた。
もちろん言われたとおり、全裸でね。
程なくして、拓真君がキッチンから出てきて「こういうのやってみたかったんだよね?」ってニコニコしながら、僕の股間に煮立ったチョコレートを……

「……っていう夢を見たんだ。いや〜妙にリアルだったよ、匂いとか」
「ふ〜ん……そんなにやりたかったんだ?」
「いや、そういうわけではないと思うけど……うーん、そうなのかな?」

実は昨晩、拓真君と『そういうプレイ』をしようと試みていた。
発端は、昔馴染みの子から『普通のは貰い飽きたでしょ』なんて言って渡されたチョコレートの香り付きローションだった。
拓真君は好奇心旺盛だから、こういうものは面白がってくれるんじゃないか。
その目論見は半分当たったのだけど――

「なにこれ! くっそ不味い! 美味しそうなのは匂いだけかよ〜」

先に味見をしなかった僕も悪かったけど、ニコニコしながらローションを垂らして『せっかくだから口でしてあげる』なんて言われてたら、ちょっと待ってと言える訳もなくて。
拓真君からそんなことを言い出すのも、その行為自体も初めてで、正直興奮してそれどころじゃなかったし。

「いや、でも気合いで我慢すれば……あー……おえーってなるからやっぱムリ……」

ローションに対しての感想だとわかっているけど、自分のモノを目の前にして言われると複雑だった。
拓真君はすっかりやる気が萎えてしまったようだし、僕も無理強いはしたくないのでそこでおしまいにした。
それが昨日の話だ。
自分でも夢に見るほど未練があったなんて思いもしなかった。

*

「……冬木さんの手、チョコの匂いする」

拓真君は僕の手に鼻を近づけてスンスンと匂いを嗅いでいる。
あの後ひとりでバスルームで抜いた、と白状すると笑われた。

「移り香か〜……なるほどね」

そう言いながら、拓真君がおもむろに僕の部屋着のウェストゴムに手をかけた。

「た、拓真君? なに、どうしたの?」
「ん〜? コッチもチョコの匂いするのかなーと思って」

ためらいもなくパンツの中に手を突っ込まれ、ペニスだけを引っ張り出された。
ひどく間抜けな格好だし、中途半端に下ろされたウェストゴムがタマを圧迫して地味に痛い。
拓真君はこういうところが気が利かない。
ちょっぴりイライラしながら自分でズボンとパンツを脱いだ。
圧迫感はなくなったけど、上は着たままだからやっぱり間抜けな格好には変わりない。

「すぅ……はー……んー、なんか思ったより普通?」
「普通って……」
「もっとチョコの匂いするのかと思ったけどそうでもないなーって」
「ああ、そういう意味ね……」
「んふー……冬木さんの匂い……俺すきー」

至近距離でまじまじと見つめられて、匂いを嗅がれて、恥ずかしいやら興奮するやら。

「うっわ、ちょっとぉ、おたくの息子さん急に元気になりましたけどー?」
「元気になるようなことしてるのは拓真君でしょ?」

そう返すと、拓真君がいたずらっぽい笑みを浮かべた。

「へへ、じゃあ責任取らなきゃね……初めてだから下手でも許してよ?」